【TTスペシャリスト】ローハン・デニスとはどんな選手?
ローハン・デニスとは?
ローハン・デニスといえば、サイクルロードレース界を代表するTTスペシャリストの一人です。
オーストラリア人でBMCに所属しています。どのような選手なのでしょうか。まとめました。
目次
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トラックで鍛えられたTTスペシャリスト
最近はロードでの活躍がめざましいローハン・デニスですが、かつてはトラック種目で輝かしい成績を残しています。
国際大会で活躍し、2010年、2011年には団体追い抜きで世界選手権で優勝しています。
この時のローハン・デニスの他のメンバーは、キャメロン・マイヤー、マイケル・ヘップバーン、ジャック・ボブリッジという、同じくロードレースでも活躍するスピード自慢の選手たちです。
デニスは世界選手権個人追い抜きでも5位になっています。 TTが速いのは当然といえば当然のようです。
ダウンアンダーで爪痕を残す
トラックレースで活躍していたローハン・デニスですが、2012年にはオーストラリアのU23ロードとTTの両方で優勝します。
そして、ツアー・ダウンアンダーに参戦しました。このレースは、UCIワールドツアーに組み込まれているレースなので、世界のトッププロチームが集結します。
この時のローハン・デニスの所属は南オーストラリア大学です。母国のレースで、デニスは奮闘します。
第4ステージではなんと、1級山岳をトップ通過し、第5ステージでもバルベルデらを相手に登りで競り合います。
終始見せ場を作ったローハン・デニスは最終的には総合5位でフィニッシュ。山岳賞と新人賞も獲得。UCIプロチームの選手たちと競い合い、きっちりとロードでも活躍できるところを世界に見せつけました。
ガーミン・シャープへの加入
2013年、ローハン・デニスはUCIプロチームであるガーミン・シャープ(現EFエデュケーション・ファースト・ドラパック)に加入します。ダウンアンダーの成績が良いアピールになったのでしょう。
そして、この年、早速クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで活躍しました。
ツール・ド・フランスの前哨戦と位置づけられる一流のレースです。
第4ステージが得意のTTであり、ローハン・デニスは惜しくもステージ2位でした。
ステージ優勝はトニー・マルティン。
惜しいですが、3位以下をみると、その強さが分かります。3位クリス・フルーム、4位カストロビエホ、5位クヴィアトコウスキー、6位ボアッソンハーゲン、7位リッチー・ポートです。
これによって、デニスは1日だけでしたが、マイヨ・ジョーヌを着ることができたのです。
BMCへ移籍。そしてダウンアンダーを制覇。
2014年8月、シーズン中にもかかわらず、ローハン・デニスはガーミンからBMCへ移籍しました。異例のことで、話題になりました。
そして、この年のBMCは世界選手権のチームTTで優勝します。TTスペシャリストのデニスの大きな貢献があったことでしょう。
そして、2015年のツアー・ダウンアンダーを迎えます。
第3ステージで、リッチー・ポート、トム・ドュムラン、ポッツォヴィーヴォ、カデル・エヴァンスと同じ集団にいたローハン・デニスは、この集団からアタックをしてステージ優勝。そして総合でもトップに躍り出ます。
山場となる第5ステージのウィランガヒルでは、総合優勝を目指すポートがやはりアタック。
デニスは食らいつきますが、ポートの鬼のような加速に離れてしまいます。
しかし、ここからTTスペシャリストとしての力を発揮したのか、“踏み続ける”ことができ、致命的となる大きな差は生まれませんでした。
どうにかポートの猛追から逃げ切ったローハン・デニスは2秒差でツアー・ダウンアンダーを総合優勝することができました。
アワーレコードを更新
一時間でどれだけの距離を走れるのか?TTスペシャリストが夢見ること。
アワーレコードの更新です。
かつては盛んだったアワーレコードでしたが、それに特化した機材やフォームが乱立し、それに対する規制もあり、混沌とした状態でしばらく挑戦者は現れませんでした。
しかし2014年に新たなルールが決まったため、続々と挑戦者が現れました。
2015年2月には、ローハン・デニスもアワーレコードに挑戦しました。
前記録はマティアス・ブランドレ(当時IAM所属、現在はトレック・セガフレードに所属)の51.852kmでしたが、デニスが52.491kmへ更新を果たしました。見事にアワーレコードホルダーになったのです。
しかし、その後はアレックス・ダウセットに更新され、さらにその後はブラッドリー・ウィギンスが驚異的な記録で更新。それまでの挑戦者とは異次元の記録を打ち立てられましたが、デニスの再挑戦はあるのでしょうか・・・
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ツール初日勝利でマイヨ・ジョーヌ
2015年のツール・ド・フランスは第1ステージが13.8kmの個人TT。
最初のステージなので、ここでステージ優勝出来ればマイヨ・ジョーヌを着ることができます。
TTスペシャリストは絶対に逃したくないチャンスです。
この大チャンスを、ローハン・デニスはものにしました。
トニー・マルティンやファビアン・カンチェラーラ、トム・ドュムランといったスペシャリストがひしめく中で、後半で伸びたデニスが優勝したのです。(風も味方しました。)
長距離TTではないため、トラックで4kmの戦いを繰り広げてきたデニスに向いていたのかもしれません。
この大きな勝利は、TTスペシャリストとしてのローハン・デニスを強く印象付けました。
多くのファンの中で、なんとなく知っている選手ではなく、強いTTスペシャリストのローハン・デニスとして認知されたと思います。
中規模ステージレースでの活躍
ツアー・ダウンアンダーで総合優勝をしている、ローハン・デニスですが、他のステージレースでも総合争いをしています。
中規模のステージレースであれば、得意のTTを活かして総合優勝争いができるようです。
・2016年のツアー・オブ・カリフォルニアでは、超級山岳で遅れますが、TTで大幅に挽回して総合2位。
・ツアー・オブ・ブリテンでもTTの好成績と、独走の逃げ切りでタイムを挽回し、総合2位。
・2017年のティレーノ~アドリアティコでは、最初のチームTTで稼ぎ、山岳で失い、最終個人TTでの好走で総合2位。
いまのところは、TTスペシャリストとして、遅れをTTで挽回するスタイルのようです。
ブエルタでも初日勝利でマイヨ・ロホ
ツールで初日の個人TTで勝利し、マイヨ・ジョーヌを着用した経験のあるローハン・デニスですが、2017年にはブエルタでもリーダージャージであるマイヨ・ロホを着用しました。
第1ステージがチームTTだったのです。彼の所属するBMCはチームTTで世界選手権優勝の経験があります。その主軸となっているのが、スペシャリストのローハン・デニスです。
同じくチームTTの強豪であるクイックステップを6秒差で下し、デニスがBMCの先頭を牽く形でゴールしたため、マイヨ・ロホが彼のもとに舞い降りました。
これによって、ツール、ブエルタと、二つグランツールのリーダージャージ着用経験者となりました。
マリア・ローザ獲得で3大ツールリーダージャージ制覇
2018年ジロで快挙を成し遂げます。
第1ステージの個人TTで、トム・デュムランに次ぐ2位と、好位置につけていたデニス。続く第2ステージでボーナスタイムを獲得し、リーダージャージであるマリア・ローザを獲得することの成功。
2015年ツール、2017年ブエルタに続いて、ジロでもマリア・ローザを着用し、グランツール全てのリーダージャージを着用した選手となりました。これは偉大なことですね。
個人TTの世界チャンピオンに!!
ローハン・デニスは、世界選手権のような長距離TTよりは、グランツールの初日のような短距離のTTに強さを発揮するスペシャリストでした。(そもそもが個人追い抜きの選手)。
意外ではありますが、2017年までの個人TTの世界選手権は5位が最高の成績でした。
2018年の世界選手権も、前年覇者のトム・デュムランが有力視されましたが、デニスは直前のブエルタでTTのステージを2勝し、調子の良さを見せます。
そして蓋を開けてみれば、2位のデュムランに1分以上の大差をつける圧勝でした。
バーレーン・メリダに移籍
2108年TTの世界チャンピオンにまで上り詰めたローハン・デニスは、2019年シーズンからバーレーン・メリダで走ることに。
日本のスター、新城幸也選手とチームメイトになることに。
新城がデニスのアシストをするレースが見れることでしょう。